三世代同居を検討している方に朗報!長期優良住宅へのリフォームで国土交通省から補助金が出ます。
これまで新築の住宅は20~30年経つと資産価値がなくなってしまい、古くなったら取り壊して建て替える「ビルド&スクラップ」が一般的とされてきました。
しかし人口の減少や空き家の増加という社会問題もあり、「今ある住宅を手入れして長く住み継ぐ」という風潮が広まりつつあります。
そうした社会的背景から、国も住宅の性能を高めるためのリフォームを後押ししており、一定の条件を満たせば補助金を受けることができます。さらに三世代同居対応のリフォームなら金額もアップ!
ここでは平成29年度の補助金が受け取れる条件や申請方法などをご紹介します。
リフォームに関する国の指針
優良住宅を長く住み継ぐ
現在日本では人口の増加があまり見込まれず、現在の世帯数に見合う十分な数の住宅が既にあることから、既存の住宅を活用していく方法が見直されつつあります。そうした風潮を受け、国⼟交通省は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を開始しました。
長期優良住宅や省エネ住宅へのリフォームを行った場合、国から最大250万円の補助金を受け取ることができるのです。
三世代同居を後押し
上記の住宅事情に加えて、高齢化と共働き世帯の増加という社会的背景もあります。そこで、高齢者の生活をサポートし、子育て世帯の経済的負担を軽減する三世代同居(※)を奨励する動きもあります。
優良住宅へのリフォームと同時に三世代同居に対応するための工事も行えば、補助金に最大50万円が上乗せされます。
三世代同居…親、子、孫の三世代が同一住居内で生活すること。三世代同居に対応した住宅とは、従来の二世帯住宅と同義。
どんなリフォームにいくら補助金が出るの?
補助の対象となる条件
住宅の規模
戸建住宅は55㎡、マンションなどの共同住宅は40㎡以上の床面積の建物が対象となります。また戸建も共同住宅も、ワンフロアの床面積が40㎡以上(階段部分を除く面積)である必要があります。
インスペクション(住宅診断)を行う
補助金を受け取るには、工事前にインスペクション(住宅診断)を行うことが前提となっています。事前に行ったインスペクションの結果に基づいたリフォーム計画であること、またインスペクションを行うインスペクターは、既定の講習と試験を受けた建築士または施工管理技士であることも定められています。
下記のいずれかの工事を行う
- 劣化対策・耐震性向上の工事を行う…評価基準型
- 長期優良住宅の認定基準をクリアする工事を行う…認定長期優良住宅型
- エネルギー効率の性能を上げる工事を行う…高度省エネルギー型
- 三世代同居に対応するための工事を行う
出典:国⼟交通省住宅局『平成29年度 ⻑期優良住宅化リフォームに関する説明会資料』P.4(LINK)
性能基準と補助額
補助金を受け取るには、リフォーム工事後の住宅の性能が既定の基準を満たしている必要があります。住宅性能の基準は、国土交通省が定めた「住宅性能表示制度」(※)に基づいて設定されています。
国土交通省:『既存住宅の住宅性能表示制度ガイド』
評価基準型
性能基準:劣化対策等級3に適合し、構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)の種類に応じた基準に適合する。かつ耐震等級1の基準に適合する又は住宅品確法に定める免震建築物である。
補助額:100万円を限度として単価積上方式で算出した額
認定長期優良住宅型
性能基準:増改築の長期優良住宅認定基準である劣化対策、耐震性、省エネルギー性、維持管理・更新の容易性、可変性、高齢者対策を満たす。(可変性と高齢者対策は共同住宅のみ)
補助額: 200万円を限度として単価積上方式または補助率方式で算出した額
高度省エネルギー型
性能基準:長期優良住宅の認定を受け、かつ一次エネルギー消費量が省エネ基準比20%削減されるもの。(太陽光発電による削減量を除く)
補助額: 250万円を限度として補助率方式で算出した額
三世代同居対応改修工事
基準:上記の工事と併せて、玄関・キッチン・浴室またはトイレの増設工事を行う。工事後、いずれか2つ以上が複数箇所あること。
補助額:50万円を限度として単価積上方式または補助率方式で算出した額
補助額の算出方法
出典:国⼟交通省住宅局:『平成29年度 ⻑期優良住宅化リフォームに関する説明会資料』P.9
工事費以外の補助金
リフォームの工事費用以外にも、補助の対象となる項目があります。
- 事前インスペクション(限度額15万円)…インスペクターが住宅診断を行い、指定の報告書を作成する費用
- リフォームの履歴・維持保全計画の作成(限度額3~6万円)…工事の内容を記録する、申請に必要な書類を作成する等の費用
- リフォーム瑕疵保険(限度額3万円)…リフォーム瑕疵保険料・検査料
補助の対象外となる条件
補助の対象となるのは、あくまでも住宅の性能を高めるための工事に限られます。住宅性能とは無関係なリフォーム(単なる設備交換、内装工事、増築、意匠上の改修等)に関しては補助の対象外となりますので、注意しましょう。また、下記の場合も補助の対象とはなりません。
- 住宅と非住宅が混在し、住宅の床面積が全体の半分以下である建物
- 新築時に長期優良住宅の認定を受けた建物
- 過去に同事業の補助金を受けたことがある建物
- 補助対象となる工事費の合計が30万円以下
- 平成30年2月16日までに完了実績報告書の提出ができない
申請の方法
申請を行うのは誰?
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金の交付申請は、事前に推進事業のポータルサイトで事業者登録を行った施工業者が行います。補助の対象となる工事を行っても、事業者登録がなければ補助金を申請することはできません。
補助金を希望する人は、リフォームを行う施工業者が登録事業者かどうか確認しましょう。
申請の流れ
補助金の申請は、リフォーム工事前に行います。補助金の交付が決定してから、実際の工事が開始されます。
出典:国⼟交通省住宅局『平成29年度 ⻑期優良住宅化リフォームに関する説明会資料』P.114
必要な書類
交付申請手続き時に提出するもの(一部)
- 補助金交付申請書(既定の様式あり)
- リフォーム計画書(長期優良住宅建築等計画)
- 維持保全計画書
- 現況検査チェックシート
その他にも工事内容一覧表や図面、事業者の登録や資格を証明する書類が必要となります。
工事中に作成するもの
リフォーム工事中の様子を写真などで記録しておきます。補助対象となる工事箇所を全て撮影し、記録を残しておかないと補助金が受け取れない場合があります。
写真での記録が難しい場合は、納品書や出荷証明書等で工事の結果を示す必要があります。
完了実績報告時に提出するもの(一部)
- 完了実績報告書(既定の様式あり)
- 工事内容確認書
- 工事箇所の工事写真
- 領収書
その他、工事内容一覧表や申請時から変更となった内容が確認できる書類等を準備し、工事完了後1ヶ月以内に提出します。
まとめ
長期優良住宅にリフォームすれば、我が家が安全で経済的になるだけではなく、国から補助金が受け取れます。三世代が同居できる住宅になれば、家族みんなの負担が軽減され、生まれ変わった我が家で新しい思い出が生まれていくでしょう。
しかし高額な補助金が受け取れるだけあって、審査や条件が厳しく、審査や施工にも専門的な知識と技術が必要となります。申請は工事店が行うため、まずやらなければならないことは安心して任せられる工事店を見つけることです。まだ工事店が決まっていない方はこちらの記事を一度読んでおくことをおすすめします。