工務店が建てた家とハウスメーカーが建てた家、耐震性に優れているのはどっち?
家を建てようと思ったとき、気になることはなんでしょうか。間取り、デザイン、費用…悩むところはいくつもありますが、やはり一番重要なのは安全性です。家族が安心して暮らせる、もしもの時に命や財産を守ってくれる家を建てたいと誰もが考えることでしょう。
特に気になるのは耐震性。近年日本の各地で大規模な地震が起きているため、家を建てる上で大きな地震にも耐えられるというのは重要な条件です。
地震に強い家を建てるためには、工務店を選ぶべきか、それともハウスメーカーを選ぶべきか。それぞれの家の耐震性能についてご紹介します。
家の耐震性はどうやって決まる?
耐震性を決める要素
地震に強い住宅とは、どんな特徴を持っているのでしょうか。住宅の耐震性を高めるポイントは、次の4つです。
- 耐力壁の量とバランスの良い配置
- 建物全体の重さ
- 接合部の強度
- しっかりとした地盤と基礎
この4点が欠けていると、地震が起きた際に倒壊しやすいと言えます。
耐震性に関する基準
日本では、「建築基準法」によって建物の耐震基準が定められています。地盤調査、建物の壁の量と配置、接合部分の補強などが義務付けられ、これらをクリアすれば大きな地震でも倒壊しないとされています。
この耐震基準は最低限のものであり、より高い耐震性を示すものとして「耐震等級」があります。これは国土交通省が定めた性能表示です。住宅基準法の耐震基準を満たしている住宅を「耐震等級1」とし、最高の「耐震等級3」までの3段階で耐震性能を表しています。
耐震等級1 | 数百年に一度発生する規模の地震(東京で震度6強~7程度)でも倒壊・崩壊しない
数十年に一度発生する規模の地震(東京で震度5強程度)でも損傷しない |
耐震等級2 | 等級1の1.25倍の力の地震に対抗できる |
耐震等級3 | 等級1の1.5倍の力の地震に対抗できる |
これから家を建てる場合、耐震等級3を基準にして構造設計すれば、耐震性の高い住宅を建てることができます。既に設計・建設された家の耐震性能を確認したい場合は、構造計算を行うことで耐震等級を確認することができます。
耐震等級3の家のメリット
耐震等級3の家は地震に強いという点が最大のメリットになりますが、それ以外にもメリットがあるんです。
- 地震保険が安くなる
- フラット35の金利が優遇されることがある
- 固定資産税が安くなることがある
耐震等級3を満たす家は長期優良住宅に該当します。(参照)国土交通省ではいいものを作って長く使うことを推奨しているため、長く住み続けられる長期優良住宅の認定を受けるとさまざまな特例措置があるんですよ。
ハウスメーカーが建てる家の耐震性
ハウスメーカーでは住宅がある程度規格化されています。ですから、どのくらい耐震性がある家なのかを事前に確認できるのが特徴です。他のメーカーとの差別化を図るために独自の耐震技術を開発したり、制震・免震のシステムを併せて装備し、地震に強い家をアピールしたりしている企業もあります。
また実際の建物に地震と同様の振動を加えて耐震性を検証する「実大実験」を行っている企業もあります。こうした大規模な実験を行うことで実際の安全性を確認し、また実験で得られたデータを元に商品を改良できる点はハウスメーカーの強みです。
販売している住宅は耐震等級3に標準対応すると謳っているハウスメーカーも多いですが、耐震性能は間取りに大きく左右されるため、どんな住宅でも必ず耐震等級3が確保されるわけではありません。吹き抜けを作ったり、大きな窓を作ったり、壁の少ない家にしたりすると耐震等級3をクリアしない場合があります。
耐震等級3を満たすためには、耐震構造や制震・免震装置の威力が十分に発揮できる間取りにしましょう。とはいえ、素人では判断が難しいと思いますので、信頼できるメーカーに相談してくださいね。
ハウスメーカーの耐震実験の一例:
工務店が建てる家の耐震性
工務店が建てる家には決まった形がないため、地震に強い住宅にするためには設計段階で耐震性の高い住宅にする必要があります。
工務店でも耐震性の高い家は建てられる?
工務店の中には、耐震等級3を基準に構造設計している会社もあります。構造計算した上での設計を行っていない工務店でも、構造設計を行う専門家に依頼して耐震等級3の構造設計を行うことができます。
一般的に、工務店よりもハウスメーカーの方が耐震性の高い住宅が建てられるというイメージを持たれがちですが、きちんと構造設計すれば工務店でも耐震等級3の住宅を建てることが可能です。
また同じ耐震等級3の住宅であっても、施工によって実際の耐震性能は大きく異なります。接合部の加工技術が高い職人がいる、自然乾燥させた木材を使用している工務店は、実際の耐震性能はより高いとされています。
耐震等級3を満たす家の事例
強度の高い構造用集成材を使用したSE構法で建てられた家です。SE構法は強度が高い上、自由度が高いため壁が少なくても耐震性の高い家を作ることができます。
こちらは築40年のご自宅をスケルトンリフォームし、耐震等級3を満たす家に補強した事例です。リフォーム後、震度6の地震が起こりましたが躯体に影響はなかったとのことです。
こちらもリフォーム事例です。築43年の家の柱、梁、屋根だけを残し全面リノベーション。耐震等級3レベルを実現しました。
確かな技術を持った工務店を選び、耐震性の高い設計を行えば、かなり地震に強い家が建てられるのです。
https://home-renovation.jp/%e8%80%90%e9%9c%87%e5%b7%a5%e4%ba%8b%e3%81%ab%e3%81%8b%e3%81%8b%e3%82%8b%e8%b2%bb%e7%94%a8%e3%81%a8%e7%9b%b8%e5%a0%b4-15
まとめ
地震大国日本では、大規模な地震が起きても最低限倒壊しない家を建てるよう、法律で定められています。しかし法律で定められているとはいえ、日本各地で大きな地震が起こり、メディアなどで実際に倒壊した住宅を目にすると不安になるものです。
ハウスメーカーで建てた家の方が地震に強い、というイメージがあるかもしれませんが工務店などでも耐震等級3を満たす家を作ることは可能です。
設計段階で耐震を意識すれば、地震に強い家を建てることは可能です。ただ設計自体が耐震性の高い住宅であっても、施工に問題があると本来の耐震性を十分に発揮することができません。
もしもの時に違いがでるのは、現場での丁寧な施工であり、細部へのこだわりです。技術の高い優良工務店を探して、安心できる家づくりを行いましょう!