1級建築士試験
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【1級建築士製図試験】落ちた後は長期、短期どちらを選ぶべきか論

hayatoteramae
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今年も厳しかった1級建築士製図試験。

去年は不合格が分かった時点で僕は長期講座を選びましたが、例えば日建だと

  • パーフェクト本科(3月から半年間の長期講座)
  • 本科(テーマ発表後の8月からの講座)

この2つの選択肢があります。

実際長期には来なくて8月からっていう人は結構いたんですが、僕は日建の長期講座通ったので、そのいい点、悪い点を今回まとめて、長期、短期を選ぶ基準についてまとめておきます。

長期講座を選んだ理由

そもそもなぜ長期講座を選んだのか?ですが、僕は普段設計業務に携わっていません。なのでそもそも図面を見る頻度自体が少なく、基礎的な設計力や知識が足りていないというのを2ヶ月ちょっとの勉強の間で痛感しました。

というか、元々は実務経験がないと受けられない試験ってことを考えると、いきなり試験を受けに来て受かるようには作られていないのが当然。逆にストレートで受からずにちゃんと勉強できて良かったと今は思えます。

普段から設計業務に携わっていたり、もうすでにエスキスや記述に不安がないのであれば長期に通う必要はないかもしれません。

ですが僕はそうでなく、8月から他の人と一緒にスタートしていては、また間に合わずに落ちるだろうという確信があったので長期を選びました。あとは自分ひとりだと絶対にサボるという自信があったのもあります。

長期講座で悪かったところ

僕は長期選んで良かったと思ってますが、先に長期講座の悪かったところを挙げておきます。

挙げるとすれば次の3つ。

  • 前半講座に先生がいなかった
  • 最近の試験傾向には合ってない課題形式が多いと感じた
  • 単純に価格が高い

1,前半講座(過去問中心の5月中旬まで)に先生がいなかった

クラスの人数が少ないと前半講座の間は先生が来ません。先生来ないので質問もできないし、添削もなし。

一応この前半講座は過去の試験問題をやるだけで、試験まで半年以上というのもあってモチベーションもあまり高くありません。実際ガンガン質問したり、添削で細かいところまで見てもらう段階ではないものの、添削も質問もなし!というのは…。

ただこれは地域によるようで、田舎で人数が少ないとこうなるようです。さらに人数が少ない場合はそもそもウェブ受講になって教室すら開かないと聞きました。まだ開講しただけましだと思うべきでしょうか。

ということで場所によるんですが、こういうところは注意ですね。

2,最近の試験傾向には合ってない(と感じる)課題形式が多かった

このあたりはどう捉えるかですが、最近の試験は細かい要求よりも自分なりに考える余地のある、ある意味自由度の高い課題が多くなっていると感じます。

例えばR5の図書館だと要求室の面積は『以上』のみ、子どもに関連する室(子供用トイレ、授乳室など)や管理諸室は全て自分で設定が必要だったり、R6の大学でも要求室の面積は『以上』のみ、階数も自由というように自由度が高い内容になっています。

それに比べると講座で出される課題のほとんどが要求室や条件をかなり詰め込んでくるパターンで、別パターンで解くのはほぼ無理な課題だったように感じます。せいぜい大空間の位置が東西で逆とかぐらいで、建物配置やスパン割はほぼ1択という感じ。

またテーマ発表前なので過去問のありとあらゆる全てのパターンを勉強させようとする関係上、

  • 今年のテーマでは一切関係ない要素(といってもこの段階だと分からない)
  • 過去出題の特殊条件(サプライズ要因)

みたいなものも勉強することになります。

この辺りは毎年変わってきているとは思うので、今年の講座がどうかは分からないですが、僕が通った時はそう感じた、ということです。

3,単純に価格が高い

一番はまぁここですよねぇ、結局。特に前半は先生なし、添削なし、動画オンリーの講座になるのでわざわざ通う意味とは…?ってなりました。でも特に安くなるわけでもなく。

ちなみに僕が通った2024年度で長期の価格だと650,000円+税。実際には早めに申し込むと割引があったんですが、それでもやっぱり高い。

ちなみに2025年度で見てみると

  • 総合:900,000
  • 日建:650,000
  • TAC:352,000
  • ウラ指導:418,000(大阪塾)
  • 製図試験ドットコム:370,000(通学)

という感じ。

この中だと総合資格はダントツですね。この金額にさらにオプションで特別対策とか、直前対策とかがあるらしいので、軽く100万は超えることになります。高すぎ。日建の65万でも十分高いと思いますが。

以上、3点。

先生がいないのはともかく、特殊なパターンや難易度高めの課題が一概にダメとは思わないですが、一応悪い点として3つ挙げておきました。

長期講座で良かったところ

続いて良かったところ。全体的には受けて良かったと感じています。特に次の3つ。

  • 強制的に課題が出ることでダレることなく進められる
  • 基礎をしっかり固められる
  • 記述のパターンが勉強できる

1,強制的に課題が出ることでダレることなく進められる

強制的にといっても基本週に1課題というペースなのでそれほど負担にはなりません。なので課題をやりつつも、自分なりに復習や弱いところを勉強する時間が取れたのは良かったところ。

エスキスでどこが苦手なのか、どこの部分でミスがあったのか。作図時に抜けやすいのはどの部分なのか、なぜ抜けてしまうのか。そういう部分を試行錯誤する時間が取れたのは今回の合格にかなり影響していると思います。

独学で、となると僕みたいに自分に甘い人間はすぐサボろうとします。今週は忙しいから、と後回しにした結果、気づけばもう7月、テーマ発表直前。なのに去年からあんまり成長していない…ということになりがち。

それを週に1枚のペースながら、絶対にやることになるのは大きかったですね。

特に6月ぐらいまでの間にいろんなところから情報を取って、エスキスの手順をほぼ確立させられたのはかなり大きかったです。

2,基礎をしっかり固められる

次はこれ。基礎的な部分なんですが、基本的なRCの構造や設備についてじっくり勉強できたのは大きかったと思います。

基本700角で階数が5階で+50、7階ならさらに+50。基礎は~3mまではべた基礎、~7mは柱状改良、それより深いと杭基礎。設備で必要なスペースがヒートポンプなら1階以外の階に空調用PS、屋上に室外機100㎡毎に1台(前面スペース合わせて2㎡程度)、単一ダクトなら空調機械室20㎡(1系統)に空調用PSとDS…などなど。

さらに法規関係もそうですね。特に高さ制限は道路・隣地・北+商業か住居か+緩和のあるなし、と分かっていないと一発アウトにもなります。

今年の大学の時は最後の最後まで高さ制限と緩和がいまいち理解できてなさそうな人も教室内にはいました。(今年は特に把握すべき情報が多くて初受験だと厳しい年だったと思いますが)

2ヶ月の間だと、基礎テキストを読み込む時間はあんまり取れないと思います。そこをじっくり読み込んでおけるから、テーマ発表後のテキストもじっくり読み込めました。

基礎部分をしっかり押さえておけたのは精神的にも大きかったですね。

記述のパターンが勉強できる

最後は記述。基本的なパターンを一通りやれるので、テーマ発表後は今年のテーマに合わせたものだけ勉強すればいいのもかなり有利です。R6の記述なんて過去出題されたものがほとんどだったわけで、初出の問題以外はほぼ完璧に書けたのは大きかったと思います。

一応テーマ発表後の2ヶ月の間でも一通りの記述はやるので問題ないんですが、その時に出される解答例は一つ。それが長期講座だと同じような記述が先に問題として出てくるので、別パターンの解答例を確認できることになります。

例えば、

厨房の排気計画について:

厨房の水蒸気や臭気が近接する室や上階の室に侵入しないよう、最上階の屋上に排気ファンを計画した。(例1)

臭気が流入しないよう、上階の室へ上げずに窓の少ない1階外壁面で排気する計画とした。(例2)

というように違うパターンが勉強できます。

まぁ排気計画なんて本番で出る可能性は低いですが、アプローチや設備関係など、パターンや表現をいくつも知っておくと、その中で自分の取り込みやすい表現があったりして対応の幅が広がります。

長期の前半で1回、テーマ発表後の後半で1回。最低2回は似たような問題解くので記憶にも残りやすいです。2回目は復習になる感じ。

現在はかなり記述の配点割合が高いと言われているし、実際僕が合格できたのも記述がほぼ完璧だったのもあると思います。どうしても記述は後回しにしてしまいやすいので、記述が苦手な人は通ってコツコツと引き出しを増やしておくのがおすすめです。

長期にすべきか、短期で済ませるか

ということで長期で受けたのが僕の場合は合格に繋がったよ、という話なんですが、ここはまぁ結果論みたいなものだし、結局は人によるところだと思います。

ただ言えるのは、すでに基礎が分かっていたり、自分なりにコツコツできるタイプの人はわざわざ長期を選ぶ理由はほぼないと思います。ただそうじゃなく、普段設計の仕事をしていなかったり、基礎をみっちり勉強したい、自分に甘いといった人は長期に通う価値はあるでしょう。

参考に、他の人の意見も。

すでに長期受けた後なら長期は不要だし、長期受けてないならできれば行った方がいいという感じ。もちろん金額や日程に余裕があれば、ですが。

ちなみに別の学校に変える選択肢もあるんですが、僕の場合は特に変えることなく同じ日建の長期を選びました。が、講師と合わないという場合や、基礎的な部分は総合の方がいいという話も聞くので学校を変えるというのも一つの手だと思います。

割と的を得てるなと思ったのでこっちも共有。

僕も他の人から総合の模試とその解説を見せてもらったんですが、エスキスの解説はかなり手厚くフォローしてくれている印象。それと記述はかなりのボリュームでみっちり書きこんでいる印象でした。

ただまぁ講師との相性があるので、周りに通ってる(通ってた)人がいるなら話を聞いてからにした方がいいでしょうね。変えたけど講師と合わないってなると悲惨なので。

最後に

結局は人によるというところなんですが、長期か短期か、選べるなら長期を選ぶ方がおすすめです。

ただ日建はエスキスの手順がかなり自由な感じなので、その部分の手順を記事としてまとめている途中です。去年の前半ひたすら調べまくって手順化した内容なので、刺さる人には刺さると思います。

ということで日建選んだけど、エスキスがいまいち掴めないって人は参考にしてみてください。記事公開後にXでポストする予定です。

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Hayato.T
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サイト運営者・記事監修者
1987年和歌山県生まれ。web業界にいたが建築の面白さを知り、一転して建築家になろうと勉強中。Peter Zumthorの作品が好き。現在1級建築士資格取得に向けて日々勉強中。(R05学科◯製図✕・R06製図合格!)
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