1級建築士試験
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【1級建築士製図試験】合格に重要な要素を試験から振り返ってみる

hayatoteramae
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R061級建築士試験、無事に合格できたということで、今回試験を振り返っておこうと思います。来年以降試験を受ける人の参考になりますよう。

問題と標準解答例へのリンク

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記述に関して解答例はないので、見返すのであれば過去問集を買うのをおすすめします。過去問集は解答例を載せてくれています。

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なぜか2023年版しかヒットしなかったので、買うならその年度のものを。

標準解答例で気になったこと

1,階段はどちらも基準法階段

予備校だと利用者用はバリアフリー、管理用は基準法階段のパターンが基本ですが、標準解答例ではどちらも基準法階段。今回『誘導基準』は求められていないし、5階建てでエレベーター2基あるから無理に誘導基準にする必要はないということなんでしょう。

2、7m×7mで49㎡のところを壁芯から外にずらして50㎡としている

今回50㎡以上の要求室が多いことから、8×7、7×6でスパンを考えた人が多いと思います。僕も8×7の複合でやったんですが、標準解答例2は壁を芯から外にずらすことで7×7で50㎡

こういう方法で面積を満たすこともできるのは分かるんですが、廊下幅も変わってくるし、なるべくやりたくないところです。

3,西側の斜線制限・南側採光について補足している

例1,2ともに西側の高さ制限について補足あり。ここあんまり言われてないような気がするんですが、なぜ西側に高さ制限が出てこないのかは法規を理解していないと適用外という言葉は出てこないので、試験元は重要視していたということなんでしょう。実際に色んな検証内容を見ていると80mで計算式書いた人もいたようです。

同様に南開口の教室系は法的採光が取れていることの補足。実際は免震の空きスパンがあるので引っかかることはないはずですが、明らかに補正係数1.0以上(道路に面している)と分からない場合は書いてほしいってことなんでしょう。

法規に関してはかなり見ているということだったんじゃないかなと。

以上3点。

階段も面積の取り方も予備校ではやらないパターンなので、知っていても本番ではやれないんでしょうけど、こういうパターンもあるよってことなんでしょうね。

再現エスキス

再現図まで書いていないのでエスキスです。ちょっと分かりにくいですが、

6階建て、東西通り抜けアプローチ、8m(6m)×7mスパン、1階6m・2階4m・3~6階4.5m。

ちなみに再現時点で発覚していたミスは以下。

  1. 6階建てで基準階平面図に断面図が突入+塔屋他が平面図に食い込む
  2. 講堂の床面積算定ミス(控室、機械室含んだ結果を記入)
  3. 免震ピット(点検口)の書き忘れ

平面図の枠内に入ってるどころか、基準階平面図の壁に塔屋、太陽光パネル、設備スペースがギリギリ当たってるレベル。さすがに寸法線は基準階平面図の上に書き直してあります。

講堂の面積は控室や機械室を除く必要があるのにそのまま計算結果を記入。

免震ピットは割と大きいミスに当たるんじゃないかと思います。

大きなミスは以上。細かい部分だと屋上庭園の上部庇の書き忘れ(庇抜いても面積は50㎡以上確保)。気付いたミスはそれぐらい。

ですがそれ以外では法規関係は全てチェックしたし、階段もちゃんと段数計算して書いたし、什器、補足はかなり書き込んでます。追加したのは事務系諸室(更衣室、トイレ)と教材室、あとは各階に交流や勉強用のフリースペースを設置。

ちなみに解答例と大きく違うのは講堂・会議室の面積が巨大、というのが1つ。もう一つは製図室を分割して計画といったところでしょうか。1学年定員80人としてもクラス分かれると思うんですよね。…というのは言い訳で、そもそも巨大な製図室っていうのがピンと来なかっただけです汗

ちなみに記述に関してはほぼほぼ書けてます。基礎免震構造、特定天井構造(特定天井ではないが)、講堂の空調方式(床置きダクト)、屋上設備のイラスト。それと(1)のセキュリティ、ユニーバサルデザイン、交流。このあたりは完璧。

教材化については一部スケルトンで内部構造が分かるように、後は高さや長さが分かるようにしてスケール感を養えるように、みたいなことを書いたはず。

一時滞在はなぜか受水槽室を絡めないとダメだと勘違いしていて、緊急給水遮断弁ぐらいしか書けませんでした。(『一時滞在を考慮した受水槽』に引っ張られて頭回ってなかった)

予備校の検証内容

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今回TACや総合で強調されているように階高が変わることで階段の不成立が多かったのかもしれません。2回転とか書き忘れるとアウトだし、段数も細かくチェックされていたのかも。8×7なら問題なくても、7×6だと4m以上の階高はキツくなるし。

続いて予備校とは別に、勉強中幾度とお世話になったkenchikutanteiさんの感想。

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ここでは3年・4年・院生で3層ゾーニングだから5階以外あり得ないって話あるんですが、実際は5階と6階での計画で有意差がなかった(日建データだと合格率は上)ので、

  • そういうゾーニングまで見られてない
  • それ以前の減点ポイントが多くて減点対象になっていない

ということなんじゃないでしょうか。

僕の場合は6階建てで、さらに製図室分割してるし、面積も足りてないですからね…。

さらに言うとXだと7階建てで合格したって人もいたので、階数が直接合否に関わるポイントではなかったのでしょう。ただ7階だと断面図どうやっても入らない気がするのと、高さ制限もかなり厳しそうですが。

7階建てエスキスが公開されていたんですが、高さ方向を1/400とすることで範囲内に収めたようです。

とはいえ、実際に要求室内でわざわざ情報を載せていることから、試験元としては5階建てにしてねって意図だとは思います。断面図のスペースしかり、標準解答例しかり。

単に今年は採点基準には入らなかっただけで、今後はゾーニングとして重要視してくる可能性もあるのが怖いですよねぇ…。

個人的に思うこと

こう細かい部分を見てきましたが、今回ランクⅢ23.9%、ランクⅣ48.0%で合わせて71.9%という数字。半分ぐらいの人は採点の土俵に上がっていないという結果です。

逆に言うと散々言われているように、やっぱり重大な不適合がなければほぼ合格。

重要になってくるのは

  • 要求室の有無
  • 要求面積
  • 法規関連(高さ制限、防火関係)

の基本が抜けないこと。

それとぱっと見た時におかしな図面にならない(廊下や室が凸凹、エントランスが異常に狭い等)こと。

後は記述じゃないですかね。といっても毎年新傾向の問題は出るし、そこで差は出ないのでそれ以外の過去にも出題されているような記述。これを絶対に取りこぼさないこと。

僕個人の話だと、去年落ちた時との大きな違いは

  • 廊下や室の形状が凸凹していない
  • 法規関連は確実に押さえている(二重チェック済み)
  • 記述がほぼ完璧に書けている

この3つ。

結局基礎的なことを本番でちゃんとできるかだと思います。それが難しい試験だというのは僕も分かってるんですが、だからこそエスキスの手順、作図の手順をしっかり確立して、精度を高くしていく。

そのために7月のテーマ発表までにいかに基礎的な部分をマスターできるか、が勝負だと僕は思います。

まとめ

去年は落ちた後、試験の分析なんて全然やりませんでした。いや、やれよって話なんですが、そもそも実力不足だなって分かってたので、試験の分析より基礎的な部分を勉強するための情報収集をコツコツ始めていました。特にエスキスの考え方はひたすら調べてましたね。

結果的に合格できましたが、今年はR05の図書館に比べてかなり難しかったと思います。ざっと挙げても、

  • ゾーニングタイプ、基準階タイプ両方の可能性
  • 道路・北側・隣地斜線制限とそれぞれ公園や道路による緩和の把握
  • 同一敷地の可能性から延焼ラインが3・5m以外の可能性
  • 教室の採光確保とその計算
  • 基礎形式に免震追加
  • 耐震と階数で柱サイズ700角以外での把握

それに耐力壁の勉強もあったし、今年が初受験だったら発狂してる自信あります。たった10週でこんなん全部把握できへんて…。

今年1年勉強してきた内容は記事として大体まとめているので随時アップしていきます。エスキス、作図、記述それぞれ勉強のコツだったりポイントをまとめている途中です。

特にエスキスは長期講座を受けても足りないって感じた内容だったので、そのあたりを補足できる記事にまとめます。また更新時はXでもポストする予定なので、今後試験受ける方は参考にしてみてください。

ではよいお年を。

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サイト運営者・記事監修者
1987年和歌山県生まれ。web業界にいたが建築の面白さを知り、一転して建築家になろうと勉強中。Peter Zumthorの作品が好き。現在1級建築士資格取得に向けて日々勉強中。(R05学科◯製図✕・R06製図合格!)
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