外壁リフォームにはどんな種類があるの?工事期間も気になる!
風雨や紫外線などから家を守る外壁。家の快適性と強度を維持するために、新築時から一定の期間が経つとメンテナンスが必要となります。外壁全体のリフォームを検討されている方、費用と同じくらい工期が気になるのではないでしょうか。
「外壁リフォームって、どのくらい工期がかかるの?ずっと足場組んだままじゃ暮らしにくいし、ご近所にも迷惑じゃないかしら…。」「今とは違う外壁材に変えたいけど、すごい工期がかかりそうだなぁ。」という疑問にお応えすべく、外壁材の種類別リフォーム期間を分かりやすくまとめました。外壁リフォームを検討中の方は、是非ご参考ください。
外壁の種類と特徴
外壁の強度を高める外壁材には、様々な種類があります。それぞれに特徴があり、リフォームを行う際には現在の外壁材を理解した上で、どんな外壁材にしたいとのかを考える必要があります。日本で使用されている代表的な外壁材について、種類や特徴をご紹介します。
サイディング
パネル状に加工した外壁材を、サイディングといいます。家の外側から貼り付け、隙間をコーキングで埋めます。軽量で耐久性が高く、デザインが豊富です。施工時間が短いというメリットもあります。耐用年数は7~8年で、劣化してきた際には塗装や張替え、コーキングのメンテナンスが必要です。
サイディングには使用している材質により「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」に大きく分かれます。
- 窯業系
セメントと繊維質を原料としたサイディングです。日本では最も使用割合が高い、ポピュラーな外壁材です。「耐震性・耐火性が高い」「デザインが豊富」などが人気の理由です。
- 金属系
鉄やアルミニウム、ステンレスなどの素材から作られたサイディングです。窯業系サイディングより耐用年数が長い外壁材です。「断熱性が高い」「凍害に強い」という特徴があります。
- 木質系
無垢材の表面に特殊加工を施したサイディングです。断熱性が高く、木目の風合いを活かした外観に仕上がります。一方でこまめなメンテナンスが必要、施工できる工務店が少ないというデメリットもあります。
- 樹脂系
塩化ビニール樹脂を原料としたサイディングです。日本ではあまり馴染みのない素材ですが、非常に軽量で耐久性が高い特徴があります。しかしデザインのバリエーションが少ない、施工できる業者があまりいないという面もあります。
セメントモルタル
セメントと砂と水を混ぜたモルタルを外壁に直接塗り付ける施工で、建物全体に一体感が生まれます。下塗り・中塗り・上塗りの3層構造のため耐震性や遮音性が高いメリットがありますが、施工に手間がかかる・出来上がりが職人の技術に左右される・ひび割れが起きやすいというデメリットも。
ALC
一般のコンクリートを軽量化させた軽量気泡コンクリートの外壁材です。自然素材を原料としており、耐久性や耐火性、断熱効果が高いというメリットがあります。吸水性が高いため防水処理が非常に重要です。特に寒冷地では凍結により劣化することがあるので、注意する必要があります。
タイル
土・石・粘土などの原料を高温で焼き固めた外壁材で、デザインが非常に豊富です。耐久性・耐候性が高いためメンテナンス性に優れ、外観に重厚感が生まれることが特徴です。デメリットは初期費用が高いこと、地震などで下地に剥離が生じた場合の補修費用が高額になることなどです。
外壁材の種類別 リフォーム方法
素材の種類に関わらず、一般的に外壁は新築10年でメンテナンスが必要とされています。その土地の気候や建物の立地条件によって劣化の進行度は異なりますので、普段から外壁に傷みがないか観察しましょう。劣化の度合いにより、リフォーム方法は異なります。
サイディング
- 塗装
劣化があまり進んでいない場合、サイディング材の上から塗装を行うことで外壁性能を維持します。通常新築から10年程度で必要とされています。コーキングの劣化が見られる場合は、補修工事も同時に行いましょう。
- 重ね張り
カバー工法とも呼ばれ、既存のサイディング材の上に重ねて新しい外壁材を張り替えるリフォーム方法です。廃材が出ない分張り替えよりも費用が安く済み、断熱性や遮音性が向上するというメリットがあります。重ね張りの際は耐震性を維持するために、新しい外壁材は軽い素材の物を使用する必要があります。
- 張り替え
下地部分まで傷んでいる、外壁から雨漏りしているなど劣化度合いが重度の場合は、外壁材を張り替えるリフォームを行います。既存の外壁材を剥がしてから下地を補修し、新たに外壁材を張ります。下地の補修費用や廃材処分費用がかかるため、高額になります。
セメントモルタル
- 塗装
劣化度合いが軽度の場合は、表面の塗装だけで済みます。壁面にクラック(ひび割れ)が起きている場合は、補修も同時に行います。チョーキング(外壁の表面に粉が吹き出る現象)が起きている場合は高圧洗浄を行ってから塗装する必要があります。
- サイディングを重ね張り
劣化が激しい場合や外観のイメージを変えたい場合は、既存のモルタルの上にサイディングボードを重ね張りするリフォームを行います。廃材撤去や処分の手間・費用がかからず、断熱性・遮音性が向上します。しかし下地の状態が確認できず建物に負担がかかるため、状態を見て慎重に検討しましょう。
- サイディングに張り替え
モルタルを撤去し、サイディングに張り替えるリフォーム方法は、築年数が長く劣化の激しい場合におすすめです。リフォーム費用は高額になりますが、下地の状況を確認しながら作業できるというメリットがあります。
ALC
劣化状況がかなり深刻な事例を除いて、一般的には表面塗装によるリフォームを行います。ALCは吸水性が高いという特徴がありますので、防水性の高い塗料を使用します。コーキングが劣化している場合は、同時に補修も行います。
タイル
タイルそのものはほとんど劣化しないため、災害などでひび割れたりしない限りは基本的にメンテナンス不要です。しかし目地は傷みやすいため、10年程で補修する必要があります。壁面の汚れが気になる場合は高圧洗浄や塗装で対応しますが、目地を避けるなどの技術がいりますので、専門の業者に依頼しましょう。
リフォーム方法別工事期間
リフォーム方法によって費用や工事期間は異なります。外壁のリフォーム方法ごとに、工程と所要日数をご紹介します。
リフォームの費用について詳細はこちら:
外壁リフォームの費用相場はどれくらい?リフォーム方法別の価格比較
塗装
通常の規模の戸建であれば、外壁の塗装には10日~2週間ほどかかります。全体の工程は下記の図のような流れで行い、メインの塗装作業は下塗り・中塗り・上塗りの3回に渡って行います。前の塗装が完全に乾いてから次の塗装を行うため最低でも3日間、条件によっては更に時間がかかる場合があります。
≪工期が長引く要因≫
- 建物の汚れ
建物に汚れがあると塗料が密着せずすぐに剥げてしまうため、塗装の前にしっかり洗浄を行う必要があります。汚れの度合いがひどい場合や、洗浄機がかけられず手作業で汚れを落とす箇所が多い場合は戦場に時間がかかります。
- 劣化状況
下地処理の行程では、外壁にクラック(ひび割れ)やコーキングの劣化などの補修を行います。補修箇所が多い場合は、その分作業に時間がかかってしまいます。
- 天候
塗装は下地が乾燥した状態で行うため、雨が降ると作業を中断しなければいけません。また風が強い場合も塗料にゴミや埃が混じる可能性があるため、作業を行うことはできません。塗料が乾きにくい季節の場合も、工期が延長する傾向にあります。
重ね張り
通常の規模の戸建住宅で既存壁がサイディングである場合の目安として、重ね張り(カバー工法)でのリフォームの工事期間はおよそ10日~2週間程度です。
≪工期が長引く要因≫
- 壁面の設置物
壁面に設置してあるもの(配線や排気口など)が多いと施工がしにくいため、通常より工期が延びます。また外壁に凹凸が多いデザインの建物である場合も、同様に作業に時間がかかってしまいます。
- 劣化状況
既存の外壁材に劣化がある場合は、補修を行いながら作業をします。補修箇所が多いと、その分工期も延長します。
張り替え
通常の規模の戸建住宅の場合、張り替えリフォームにはおよそ2~3週間の工事期間が必要です。
≪工期が長引く要因≫
- 劣化状況
既存の外壁を撤去して下地をチェックしながら張り替え作業を行いますので、下地に補修が必要な劣化箇所が多い場合は工期が長くなります。
まとめ
外壁リフォームの工期は方法によっても異なりますが、共通して言えることは劣化の状況がひどい場合は工期が長引く傾向にあり、それに比例してリフォーム費用も上がるということです。工期を最短期間にするためには劣化が進む前にリフォームを行うことが重要であり、早めにメンテナンスを行うことは家そのものの寿命を伸ばすことにもなります。
しかしリフォームにあまり詳しくないと、どのタイミングでリフォームを行うのがベストなのか判断が難しいのも事実。そんな場合は一度プロに現状を確認してみるのはいかがでしょうか。信頼できるリフォーム工事店を見つけて、大事な我が家をしっかり守っていきましょう!