土壁を断熱リフォームしたい!どんな方法がある?
夏場はひんやりして気持ちがいい土壁ですが、冬になると寒く感じる人も多いでしょう。
土壁も断熱リフォームをすることで断熱性をアップすることは可能です。土壁の断熱リフォームの種類や事例を見ていきましょう。
土壁の断熱性はどのくらい?
そもそも、土壁の断熱性はどうなのでしょうか。
「土壁は断熱性が高いんだよ」と言われることもありますが、それは間違い。土壁の断熱性は一般的な断熱材の1/10~1/20ほどと言われています(参照)。
土壁は
- 蓄熱性が高い(一度暖まったら冷めにくい)
- 調湿機能があり湿度を一定に保つ
という特徴があるため断熱性が高いと勘違いしている人もいるようですね。
ほとんどの場合、古い土壁の家は断熱性も気密性も低いです。特に気密性に関しては全くないと言っていいほど隙間が空いてしまっていることが多いので、土壁だからこそ断熱リフォームを検討するべきだと言えますね。
土壁を断熱リフォームするならどんな方法がある?
土壁の断熱をするには、
- 外断熱:柱と外壁の間(家の外側)に断熱材を入れ、家全体を包むようにする
- 内断熱(土壁は壊す場合):柱と柱の間の土壁を壊し、代わりに断熱材を入れる
- 内断熱(土壁を残す場合):土壁の内側に木枠を組んで断熱材を入れる
という3つの方法があります。土壁を断熱リフォームする場合、どの方法も選択可能です。
先ほどお話した通り、土壁には蓄熱性や調湿性があります。この性質を活かしたいのなら外断熱がおすすめ。ただし外壁をやりかえることになるのでかなり大掛かりな工事になります。
土壁にはほかにもメリットがある(防火性能など)ので、特に蓄熱性や調湿性を活かさなくてもいい、という場合は内断熱でよいでしょう。土壁を残す場合は比較的手軽に断熱化できるメリットもあります。
ただし、古民家などは結露の関係で場合によっては外断熱ができないこともあるので注意が必要です。
断熱材は何がいいのか?
断熱方法と合わせて考える必要があるのが断熱材。
土壁には調湿性があり、水分をため込みます。断熱材に多く使われるグラスウールなどの無機繊維系は、吸放湿性がなく湿気が入ると吐き出せなくなってしまうといわれています。最悪の場合、壁内で結露してカビの原因になってしまうことも。
そのため土壁に無機繊維系の断熱材を使う場合は、室内側の水分が壁内に移動しないよう防湿対策をする必要があります。
調湿作用を活かすのなら断熱材には羊毛、セルロースファイバー、コルクなどの調湿作用がある断熱材がおすすめです。ただし、これは『内断熱』で『調湿作用を活かすなら』という話なのと、実際には地域や施工する会社によっても変わってくるので、これがいいというのは一概には言えません。
断熱材についてはこちらの記事もどうぞ。
土壁を断熱リフォームした事例
土壁を断熱リフォームした事例を見ていきましょう。
わずかな手直しで「断熱性能」大幅UP!|LIXILオーナーズクラブ
断熱方法:内断熱
断熱材:厚さ10cmのグラスウール
土壁の内側に木枠を組み、グラスウールを入れ、耐火ボードと壁紙を張りました。
その他、壁と木材の間に発泡ウレタンを入れ、気密性を高めています。壁だけでなく、窓と床も断熱リフォームしていますし、どこにコストをかけるべきか参考になります。
リノベーションで、大切な「宿場町」の地域文化を継承|LIXIL
断熱方法:外断熱、内断熱
断熱材:高性能断熱パネル
こちらは古民家を利用した宿を全面リフォームした事例。LIXILの「まるごと断熱リフォーム」は本来土壁には対応していないのですが、実験的に行った事例だそうです。外壁に面する壁や土壁の内側に高性能断熱パネルを張りました。他にも内窓や内障子戸を作るなどのリフォームをしていますよ。
体験1:山見拓さん(自分たちで断熱リフォーム)|京都府地球温暖化防止活動推進センター
断熱方法:内断熱
断熱材:羊毛
こちらの方は築70年の家を購入し、リフォームして住まれています。土壁に相性がいいといわれる羊毛断熱を使い、自分たちで断熱リフォームされています。寒くなりそうなところは厚めの断熱材を使用するなど工夫されていますよ。
窓の断熱なども行い、暖かく快適に過ごせているようです。
各務原市 K様邸 耐震・断熱改修を含むリノベーション事例|タグチホーム
断熱方法:内断熱
断熱材:グラスウール
築40年の家の離れをフルリノベーションした事例。土壁は残して内側を構造用合板で補強してから、グラスウールを入れています。古い素材を残しつつもモダンな家に生まれ変わりました。
断熱方法:外断熱
断熱材:不明
こちらはリフォームではないのですが、土壁の家を新築した事例。土壁の良さを活かすために外側から高性能の断熱材で包みこんでいます。日本家屋らしい雰囲気ですが、モダンでもある家ですね。
まとめ
土壁の断熱リフォームについて見てきました。それほど事例は多くないですが、外断熱、内断熱、どちらも行っている例がありましたね。調湿性のある断熱材がおすすめですが、実際はグラスウールなどで断熱されている方が多いです。
土壁には、蓄熱性や調湿性があるので断熱をすることで快適に過ごすことが可能です。土壁の部屋が寒いと感じるなら断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
といっても部屋の断熱をするのなら壁だけでなく、窓や床の方が効果があります。断熱リフォームについて、こちらも参考にどうぞ。