薪ストーブにはどんな種類がある?燃焼方法、材質などでどう違う?
おしゃれで雰囲気があり、暖かいので人気の薪ストーブ。
薪ストーブといっても種類は様々。燃焼方法や材質、デザインなど違いがあります。薪ストーブの種類について見ていきましょう。
薪ストーブの種類
薪ストーブの種類は
- 暖房方式
- 燃焼方式
- 材質
- デザイン
などで分けられます。それぞれ、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
暖房方式
薪ストーブには3つの暖房方式があります。暖房方式によって部屋を暖める方法が違うのですよ。
輻射式
薪ストーブ本体を暖め、蓄積した熱を放出し、遠赤外線(輻射熱)で周囲を暖めていきます。ストーブの全方向から放熱するので部屋全体が暖まります。
家全体を包み込むような「陽だまりのような暖かさ」などと表現されることも。薪ストーブの中で最も主流な暖房方式です。
部屋の真ん中に薪ストーブを設置すると一番暖房効率が高く、設置場所によって暖まり方に違いが出てきます。
薪ストーブ本体が高熱になるので天板の上に鍋などを置いて料理することも可能。半面、本体が熱くなるので小さなお子様やペットがいるご家庭では注意が必要です。
同じ仕組みの暖房機器:オイルヒーター、電気カーペット、電気ストーブなど
対流式
対流式の薪ストーブは、まず底面にあった冷たい空気を本体の背面で温め、前面から放出していきます。放出された暖かい空気が上に上がっていくと、冷たい空気が押し出されてに下がっていき対流を起こすことで部屋全体が暖まります。輻射式よりも部屋全体を暖める効果が高いですよ。
薪ストーブの場合は対流式であってもガラス面からは遠赤外線(輻射熱)も感じることができます。ですから「対流+輻射式」と呼ばれることも。どちらの効果も兼ね備えているんですね。
薪ストーブ本体はそれほど熱くならないので料理をするには不向き。ですが触っても安心、壁や家具に近づけられるというメリットもあります。輻射式と違い、設置場所に困らないというのもメリットですね。
同じ仕組みの暖房機器:エアコン、ファンヒーターなど
開放式
燃焼部分にガラスや扉がなく、炎がむき出しになっている暖炉のような薪ストーブです。薪が燃えている様子や音をガラスや扉越しではなく直接感じることができます。
直接火が見えるので暖かそうな感じがするかもしれませんが、周囲の空気を暖める効果はないので輻射式、対流式よりも暖房効率は下がります。
同じ仕組みの暖房機器:暖炉
暖房方式の違いはまとめると以下の通り。
仕組み | 設置場所 | 暖まる範囲 | 同じ仕組みの暖房機器 | |
輻射式 | ストーブ本体の熱で周囲を暖める | 壁や家具からは離して設置。子どもやペットに注意 | 薪ストーブの全方向(障害物があると効果は弱まる) | オイルヒーター、電気カーペット、電気ストーブ |
対流式 | ストーブの熱で対流を起こし部屋全体を暖める | 壁や家具の近くにも設置できる。 | 部屋全体 | エアコン、ファンヒーター |
開放式 | 火の暖かさで温める | 壁や家具からは離して設置。子どもやペットに注意 | 薪ストーブの前のみ | 暖炉 |
薪ストーブ様々な種類がありますが、暖房の性能が一番変わってくるのはこの暖房方式です。まずはどの暖房方式がいいのかを決め、他を決めていくのが良いかもしれません。
材質
続いて、本体に使われている材質を見ていきます。薪ストーブに主に使用されるのは鋳物(いもの)と鋼板(こうはん)、ステンレスです。材質の違いでストーブの性能にどのような差が出るのでしょうか。
鋳物(いもの)
鋳物は溶かした鉄を型に流し込んで成形したもの。
メリット
- 蓄熱性に優れていて冷めにくい
- 遠赤外線効果が高く暖かい
- 型に流し込むので凝ったデザインが作れる
- 熱に強く変形しない
デメリット
- ストーブ本体が暖まるまでに時間がかかる
- 急激な温度変化で割れてしまうことも
ストーブが高温になる輻射式や開放式のストーブは鋳物ストーブが一般的です。
鋼板(こうはん)
鋼板は一枚板の鉄板を加工したもの。
メリット
- 本体が暖まりやすい
- 着火で失敗しにくい
- 温度変化に強い
- 鋳物に比べて若干安価
デメリット
- 火を消してしまうと冷めやすい
- 鋳物に比べて熱に弱くひずみやすい
ステンレス
ステンレスでできた薪ストーブです。
メリット
- 軽い
- さびにくい
- 値段が安価
デメリット
- 耐久性が弱い
- 蓄熱性が低く火を消すと冷めやすい
- 気密性が低い
ステンレスは鋳物や鋼板に比べると丈夫ではなく、長時間使い続けると壊れてしまいます。主にアウトドア用で使用されることが多いですね。
本格的に薪ストーブを導入したいという方にはあまりお勧めしません。
材質による違いは以下の通り。
耐久性 | 蓄熱性 | 立ち上がり | 価格 | |
鋳物 | 最も高い | 高い | 遅い | 高い |
鋼板 | 高い | やや高い | やや早い | やや高い |
ステンレス | 弱い | 低い | 早い | 比較的安価 |
燃焼方式
続いては燃焼方式について見ていきます。ただ薪を燃やしただけでは不純物が発生します。大気汚染の原因にもなる排気ガスですね。薪ストーブは様々な燃焼方法で排気ガスを抑えるように設計されています。
燃焼方法によって暖房の性能が大きく変わるわけではないですが、煙の量やメンテナンスに違いが出たり、操作性も変わってきます。
メーカーによってさまざまな名称の燃焼方式がありますが、大きく分けると
- 触媒方式
- 非触媒方式(リーンバーン、ファイヤードーム等)
- 触媒&非触媒方式(フレックスバーン方式)
の3種類です。
触媒方式
触媒方式とは、触媒を使って不純物の燃焼を促す燃焼方法です。キャタリティック燃焼と呼ばれることもあります。
燃焼室で燃えた薪の排気ガスは一次燃焼をしただけでは不十分で不燃焼ガスが発生します。
触媒方式では、キャタリティックコンバスターというフィルターのようなものに不燃焼ガスを通し、一時燃焼で残った不純物を再燃焼します。不燃焼ガスの90%が再燃焼し、空気がきれいになります。排気ガスがきれいになることでメンテナンスも楽になるんですよ。
触媒方式は燃焼が強くても弱くても一定の排気能力を維持してくれるのがポイントです。
キャスタリティックコンバスターは5~6年ほどで交換する必要があります。
触媒はセラミック製が主流でしたが、最近ではステンレス製も出てきています。ステンレス製の方が低い温度でも再燃焼するためより空気がクリーンになり、薪も長持ちします。費用もそれほど変わらないのでステンレス製を選んだ方が良さそうです。
非触媒方式
非触媒方式とは空気の取り入れ方を操作して不完全燃焼を減らしていく方式。二次燃焼までの製品と、四次燃焼までの製品もあり、同じ非触媒方式でも性能は異なりますよ。
触媒方式よりも燃焼効率は下がることが多いですが、触媒を交換する手間がないのがメリット。
非触媒方式には
- リーンバーン燃焼
- クリーンバーン燃焼
- ファイヤードーム燃焼
などがあります。
リーンバーン方式
自動車エンジンなどにも採用されている燃焼方式。比較的新しい方式です。
燃焼用の空気を通常より多く取り入れ熱効率を高めていきます。通常ガス1に対して空気14で燃焼させるところ、リーンバーン方式は20~25の空気で燃焼させ、燃焼効率を上げています(参考)。
再燃焼室があり四次燃焼までできるように設計されているため、空気はかなりきれいになります。
クリーンバーン方式
1つの燃焼室で一次燃焼と二次燃焼を行う方式です。下から空気を取り入れて一次燃焼を行い、二次燃焼のための空気は上部から取り入れます。
燃焼室が1つなので構造がシンプル。操作も簡単で壊れにくいです。メンテナンスをしっかりしていれば何年たってもクリーンな排気をキープできますよ。
世界の高性能薪ストーブのほとんどはクリーンバーン方式を採用。操作、メンテナンスも楽なので初心者の方にもおすすめの燃焼方式です。
ファイヤードーム方式
ファイヤードーム方式はレバーで空気の量を調節し、一定の温度で薪を燃やします。ただしレバーは手動なので自分で操作をしなくてはいけません。慣れていないとうまく調整できない場合も。
二次燃焼までなので他の方式に比べて排気ガスに不純物が残る可能性が高くなります。
広い空間を暖めることができるストーブでもあります。
触媒&非触媒方式
触媒方式と非触媒方式を組み合わせたのがフレックスバーン燃焼です。
- 下から空気を取り込み一次燃焼をする
- ストーブと煙突が熱くなったら、煙を強制的に二次燃焼室に送り込む
- 二次燃焼室に新鮮な空気を送る
- 二次燃焼で燃え切らなかった不燃焼ガスを触媒に通し空気をクリーンにする
という方式。
触媒なしでも使用することができますが、触媒を使用した方が低燃焼時の効率は15%高まります(参考)。
両方の特徴を搭載しているのでより燃焼効率が高まり、空気もきれいになりますね。
燃焼方式の違いは以下の通り。
不燃焼ガスの発生 | 構造 | 触媒の交換 | |
触媒方式 | 少ない | ややシンプル | 必要 |
非触媒方式 | 燃焼の回数による | 方式によって異なる | 不要 |
触媒&非触媒方式 | 最も少ない | やや複雑 | 必要 |
薪ストーブの種類はどう選ぶ?
暖房方式、材質、燃焼方式の違いを見てきました。実際に薪ストーブを購入した方はどのような基準で選んでいるのでしょうか。
薪ストーブの購入で悩んでいる方への経験者からのアドバイスをまとめました。
鋳物と鋼板どちらがよいのかで悩んでいる方へのアドバイス
両方経験してます。我が家は朝1番で火を入れ 夫婦2人 外出もあった時期に 鋳物使いましたけど 兎角 部屋の温まりまで時間かかるし 薪も それなりに消費しましたので 鉄製に変更しました。
1日 誰かが家におり 種火消さない感じで追加し トロトロと燃やして 維持させるような焚き方なら 鋳物の方が厚みあり 消えても余熱もあるので すぐに寒さは感じませんけど その都度 焚く感じでは 鉄製の方が熱の伝わり方違います。金物でも ホームセンターで売られているような時計型などは 耐久的に 2~3年(勿論 焚き方にもよります)です。私のは ホンマ製のポットタイプで 時計型よりも 厚みもあって それなりに耐久性もあります。参照元:yahoo知恵袋
この方は両方経験されているということで貴重な意見ですね。1日中使うのか、朝晩だけ使うのかによってどちらが良いのかも変わってくるんですね。
皆さんが言われるように、鋳物は熱持ちがいいので夜遅くまで起きているのであれば、寝る前に大きめの薪を入れて朝を迎える。そうすれば、ほんの少しかもしれませんが熾火も残っていると思います。
そこに焚き付けをくべて細めの薪を投入すれば、火が起きてきますので朝は暖かくなると思います。
ただ、お住まいの地域にもよりますので一概には言えない部分はありますが。。。。参照元:yahoo知恵袋
朝一から火を起こすのは大変ですが少しでも火が残っていれば立ち上がりが早いんですね。
どうやって薪ストーブを選びますか?という質問
大抵は見映えで決めるもの。
だから気分、気持ちを優先させなければ意味がない。
そうでなければ薪の用意や掃除と手間のかかる薪ストーブなど使う意味がない。
暖かさなどちらも大差ない。
安物の見た目も悪い物では気分も盛り上がらない。参照元:yahoo知恵袋
別荘です趣味として使うなら、私も奥様と同じで、見た目重視で選びました。毎日ストーブを見るのか楽しいです。
参照元:yahoo知恵袋
じつは薪ストーブはデザインで選ぶ、という人も多いです。暖かさを一番に考えるのなら生活スタイルなどによって選ぶのが良いと思いますが、おしゃれな薪ストーブを置きたい、炎を眺めて暮らしたいという方はデザインで選んでもよいのではないでしょうか。
安価な薪ストーブよりも高価な海外製が人気なのはなぜですか?という質問にはこんな答えも。
少なくとも日本では、薪ストーブはその実用性よりもインテリア性に重きを置かれることが多いです。
ホンマが悪いのではなく、インテリアとして見た場合に、ブランド価値を含めて「どちらが好みか?」というだけです。参照元:yahoo知恵袋
こちらは安い薪ストーブと専門店の薪ストーブの違いは何ですか?という質問に対する回答。
全くの別物で専門的なものの方が断然にいいです!と言いたいですが決してそうではないです。
たしかに高価なものの方が物としてはいいと思いますが機能などにおいてはほとんど変わりません。
ただ、鉄が薄ぺらくステンで出来ているものはやめた方がいいです。
火のおこしかたによっては、ストーブ本体や煙突が真っ赤になり火事の原因にもなります。
鋳物であれば、そこまでの大差はないと思います。
いずれにしても、メンテナンスは必要です。参照元:yahoo知恵袋
ネット上で見かける薪ストーブの購入前の悩みは、材質についてがほとんどでした。そして実際購入した人はデザインで選んだという意見が多く感じましたよ。
手間がかかるのでデザインが良くないと気分が上がらない、という意見には妙に納得してしまいました。
まとめ
薪ストーブの種類と、実際に購入を考えている方や購入した方は何に悩み、何で選んだのかを見てきました。
薪ストーブを購入するならまず考えたいのは暖房方式。暖房方式によって置き場所や使い方が大きく変わってきます。
逆にいうと材質や燃焼方式ではそこまで大きな差はない、という意見も。複数の薪ストーブを実際に使った人は少ないので何とも言えませんが、暖房方式を選んだら後はデザインで選んでみてもよいのかもしれませんね。
薪ストーブは本体だけでなく、煙突にも種類があります。煙突についてはこちら。