ペットのための地震対策 日頃の備えと地震発生時の対応〜犬&猫編〜
家族の一員であるペット。かけがえのない存在ですが、突然の地震が起きたときペットの安全は確保されていますか?ペットが寝ているときに地震が起きたら、ペットだけが自宅で被災したら、自宅から避難しなければならなくなったら…。
もしものときに備えて普段から準備しておくことと、避難時に注意することをまとめました。今回は犬&猫編です。
地震が来たとき、ペットをどう守る?
ペットを飼っている方が地震にあった場合、どのような対応をとればいいのでしょうか。
まず自分の命を最優先に
突然地震が来たらペットのことが気になるかと思いますが、揺れている最中は自分の頭を守る、安全な場所に移動するなどの行動を取りましょう。飼い主が生き残らなければペットも生き残ることはできません。まずは自分の身を守り、揺れが落ち着いてからペットの安否確認や確保を行います。
大きな揺れが来たらパニック状態に陥ってしまいますが、動物は人の精神状態を感じ取るので、飼い主の不安はすぐにペットに伝わります。ペットを落ち着かせて不安を取り除くためにも、まずは飼い主が冷静になって状況を確認しましょう。
ペットとはぐれてしまったら
早めに捜索を開始する
ペットがいなくなってしまった場合、二次災害に遭わないよう注意しながら、いなくなった場所や自宅の周辺を中心になるべく早く探し始めます。
猫はあまり長距離移動をすることはないので、自宅やその周辺を探します。見える範囲だけではなく、植え込みや車の下、塀や自販機の上、物陰など立体的に探しましょう。
犬は直線的に動くことが多いので、逃げた方向が分かればその方向に探しに行きます。1日に何㎞も移動することができるので、遠くに行ってしまう前に探し出すようにしましょう。犬には帰巣本能がありますが、地震によるパニック状態で、しかも周囲の状況も変わっているため自力で帰ってくることは困難です。必ず探しに行きましょう。
探しても見つからなかったら
どんなに探しても見つからない場合は、次の捜索方法を実行します。
- 警察・保健所に届けを出す
- ポスターを貼る
- インターネットを使って探す
インターネットを活用する方法は、迷子ペットの掲示板に投稿したり、SNSで呼び掛けたりするなどがあります。
ペットが見つかったら届け出先や捜索を依頼した関係各所に報告してお礼を伝え、ポスターは全て回収しましょう。
普段からの備えがペットの命を守る
突然の地震に驚いてパニックになるのは人も動物も同じです。しかし動物は言葉が理解できない分、突然の状況の変化に対応するのが難しいもの。いざというときのために普段から備えをしておくことが、地震でペットの命を守ることにつながります。
自宅の安全対策
地震が起きたときにペットが離れたところにいる、飼い主が外出していてペットだけが自宅にいるという状況も考えられます。ペットと離れていても危険がないよう、自宅の安全対策をしておきましょう。
室内で飼っている場合
家具の転倒防止やガラスの飛散防止、収納の中身が飛び出さないよう対策しておけば、ペットだけではなく人間の安全にもつながります。特にペットがいつも寝ている場所、日中過ごすことが多い場所の周囲に危険がないか、チェックしましょう。
ポイントは以下の通り。
- ペットの居場所の近くに背の高い家具を置かない
- 棚の上に重いものを置かない
- 収納物の飛び出しを防止する
- 窓やガラス戸に飛散防止フィルムを貼っておく
- サークルやゲージも転倒しないよう固定しておく
室内の安全対策について詳しくは、こちらを参考にしてみてください。
屋外で飼っている場合
周囲に危険物(ガラス窓やブロック塀など)がないか確認しましょう。
室内でも屋外でも、ペットが逃げ込める避難場所を作っておきましょう。犬小屋やケージ、ハードタイプのキャリーバッグなど、上から物が落ちても潰れないものがおすすめ。普段からその中に入ることに慣れておくと、急に地震が来たときに避難場所に自分で逃げ込むことができます。
ペットのための防災グッズ
地震に備えて、ペットのための防災グッズを用意しておきましょう。災害時はやはり人命が優先となり、ペットのための食糧や日用品は後回しになってしまいます。ペット用の物品が手に入らなくても生活できるよう、食糧や消耗品は普段から1週間分備蓄しておきましょう。
犬猫のための防災グッズに関してはこちらの記事をどうぞ。
物品のほかにも、ペットの情報もまとめておきます。ペットの特徴や健康状態を「健康手帳」としてまとめておけば、もしペットを預けなければいけなくなったときや、ペットとはぐれてしまった際に役立ちます。
《ペットの情報》
- ペットの名前・年齢
- 犬種/猫種・外見の特徴
- 健康状態
- ワクチンの摂取状況
- 既往歴
- かかりつけ院
ペットの「健康手帳」は、無料で提供されているテンプレートもあります。使いやすいものを探して利用するのもいいですね。
Benesse:
犬用健康手帳「もしものときの愛犬カード」
猫用健康手帳「もしものときの愛猫カード」
ペット自身にも
- 迷子札を着ける
- 鑑札(犬の場合)
- マイクロチップの装着と登録
などをつけておくことではぐれてしまったときにも役立ちます。
また、飼い主とペットが一緒に写っている写真があるとペットが見つかった時、引き取る際に証明になり、役立ちます。
マナーとしつけ
災害時は避難所に行かなくてはいけないことも出てきます。近隣の人に迷惑をかけないよう、日ごろからペットのしつけをしておくことも重要です。
《ペットのしつけ》
- リード・ハーネス・キャリーバッグ・ケージに慣らしておく
- 頻繁に吠える・鳴く・騒ぐことがないように
- 犬は噛まない、飛びつかないように
- 飼い主以外の人・他の動物・物音に慣らしておく
- 決められた場所で排泄ができるように
- (犬の場合)「まて」「おいで」「おすわり」など指示に従えるように
様々な状況に慣らしておくことで、普段と違う環境に置かれたときのペットのストレスを減らすことができます。しつけがなかなか思うようにいかない場合もあるかとは思いますが、ペットを守るため根気強く行いましょう。
また、飼い主の方のマナーも必要です。
- ペットの健康管理
- 脱走の防止
- 臭い・抜け毛対策
- 排泄物の処理などの衛生管理
- 他人への配慮
ができるよう、心得ておきましょう。中にはペットが苦手な人もいますからね。
過去の震災では、マナーの悪い飼い主のせいでペットが他の避難者に迷惑をかけ、ペットの同行が全面的に禁止となった避難所もあったそうです。飼い主の意識が低いとペットの安全を守れないばかりか、他のペットや飼い主にも迷惑をかけてしまいます。大切なペットと一緒に、周りの人も気持ちよく過ごせるよう日頃から気を配っておきましょう。
まとめ
ペットも大事な家族であり、非常時だからこそ癒しや頑張る原動力になってくれる存在です。いつ来るか分からない地震を一緒に乗り切るには、日頃からの備えと信頼関係が不可欠。大切な家族を守るために、今日から準備を始めましょう!
参考資料
猫びより編集部(2018)『決定版 猫と一緒に生き残る 防災BOOK』日東書院本社
徳田 竜之介(2018)『どんな災害でもネコといっしょ:ペットと防災ハンドブック』小学館
徳田 竜之介(2018)『どんな災害でもイヌといっしょ:ペットと防災ハンドブック』小学館