防災情報

赤ちゃんがいる家庭の地震対策〜地震時の守り方と安全に過ごせる部屋のポイント〜

近く起こるとされる大規模な地震。赤ちゃんがいるご家庭では、いざというときに小さな命を守れるのか不安になりますよね。地震が発生したとき、大人がパニックになると赤ちゃんも敏感に空気を察して不安になってしまいます。

日頃からどんな準備をしておけばいいのか、実際に揺れが発生したときにはどんな行動を取ればいいのかをまとめました。いざというときに「大丈夫だよ、ちゃんと準備してるからね。」と赤ちゃんを安心させてあげられるよう、ポイントをしっかり抑えておきましょう。

地震が起きたときの対応

まずは地震が起こった時にどのような対応をすればよいのか見ていきましょう。

揺れている最中は何もできない

震度6前後の揺れの中では「立っていることが困難になる、はわないと動くことができない、飛ばされることもある」とされています。(参考

実際の地震で震度7を経験した人の中には「自分が飛ばされないようにするのが精一杯」「揺れている最中は、隣の部屋で子供が泣いているのに駆けつけられなかった」という人もいます。

すぐに駆け付けたい気持ちは分かりますが、まずは頭を守る、テーブルの下に入るなど自分の身の安全を確保し、揺れが収まってから子供の側に行くようにしましょう。

つまり、地震対策は「揺れている最中は何もできない」ということを頭に入れ、赤ちゃんが1人でも安全な環境にしておく必要があるんです。

安全な赤ちゃん部屋の作り方は次の章で。

地震が来た!赤ちゃんの守り方

赤ちゃんを抱っこしていたり、すぐ近くにいた場合はどのように対応すればいいのでしょうか。

自宅にいる場合

まず危険な場所(大きな家具の近く、窓の側など)から離れます。

そして、テーブルの下などでダンゴムシのポーズと言われる以下の体勢で赤ちゃんを守りましょう。

  • 体勢を低くして赤ちゃんと向かい合わせになる
  • 子供の頭を大人のお腹側にして、子供のお尻を抱えて丸くなる

(参照・画像引用元:危機管理教育研究所「地震から子どもを守る」)

赤ちゃんが窒息しないよう、太ももの間は軽く開けて置きましょう。小さな赤ちゃんの場合は肩や腕も足の間にしまい込んだ方が安全です。大人は頭頂部を床につけ、首の後ろで手をクロスさせると自分の頭や首も守ることができます

いざという時にこのポーズが取れるように、日ごろから練習しておくといいですよ!

火の始末なども気になりますが、最近は揺れを感じると自然と消えるガスコンロも多いので、まずは自分と赤ちゃんの安全を守り、落ち着いてから確認するようにしましょう。

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外出中の場合

赤ちゃんと一緒に外出しているときに地震が起きたら、まずは道路脇の安全な場所に行きましょう。

周りにブロック塀・ガラス・自動販売機など、倒れてきそうなものがないか確かめ、荷物やブランケットなどで頭を守ります。ダンゴムシのポーズをとるのもいいでしょう。

ベビーカーに乗っている場合は、ストッパーをかけて赤ちゃんの上に覆いかぶさります

お店などの室内にいる場合は、出入り口に人が殺到することもあります。周囲の状況をよく見て、慌てて外に飛び出さないようにしましょう。

赤ちゃんが泣き止まないときは?

地震の異変や、大人の慌てる様子を見て泣き叫んでしまう赤ちゃんもいます。そんな時は肌と肌をくっつけて深呼吸するといいでしょう。肌と肌が触れ合うと安心します。小さな赤ちゃんの場合は洋服の中に入れるのもいいですよ。

ただし、大人の呼吸が浅かったり、きつい声を出してしまうと赤ちゃんに焦りが伝わってしまいます。まずは大人が落ち着くことが大切ですね。

地震が来ても安全な部屋に

前の章でお話した通り、地震が来てもすぐに子供の側に駆けつけることができないこともあります。赤ちゃんが過ごす場所には危険がないようにしておきましょう。

安全な部屋作りのポイントは以下の通り。

  • 赤ちゃんが寝る場所付近には、背の高い家具・重い家電を置かない
  • ガラス窓の近くに寝かせない
  • ベビーベッドやワゴンなどのストッパーをかけて置く
  • 家具の転倒対策をする
  • 収納物の飛び出し対策をする

赤ちゃんの周りにはなるべく物を置かないというのが一番ですね。赤ちゃんが小さいうちは赤ちゃんの周りだけでもいいですがだんだんと行動範囲が広くなってくるのでどこにいるときに地震が発生するか分かりません。家全体の地震対策が大切になってきます。

赤ちゃんの部屋作りのポイントはこちらの記事も参考にしてみてください。

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家具や家電の固定についてはこちらをご覧ください。

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家具を固定しても、中身が飛び出しては危険です。赤ちゃんのいたずら防止対策にもなりますので、収納の中身の保護もしておきましょう。

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防災グッズを準備しておこう

大きな地震が起こると、電気や水道などのライフラインが止まってしまう可能性もあります。万が一に備えて防災グッズを用意しておきましょう。

防災グッズは

  1. 非常用持ち出し袋(命に係わる危険が迫っているときに持って非難するもの)
  2. 家置き用(自宅でライフラインが止まった時などに使用)
  3. 避難所用(避難所で生活することになった時に持っていくもの)

の3種類が必要です。家族にとって必要なもの、赤ちゃんにとって必要なもの両方を用意しておきましょう。

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赤ちゃんを連れて避難するとき

地震が大きい時、住んでいる家に危険がある時など、自宅を出て避難しなくてはいけないことも出てきます。

地震の直後は揺れで壊れたブロック塀やガラスの破片が散乱していたり、道路が通行止めになっていたりすることも。赤ちゃんを連れて移動中に余震が来ることも考えられます。ですから無理に移動する必要はありませんが必要に応じて避難してください。

避難所に行く場合は

準備するもの

自宅が危険な状況になってしまったなど、どうしても避難所に行かなければいけなくなったら、必要なものをもって避難します。バッグは両手が空くリュックタイプがおすすめ。非常用持ち出し袋を用意していない場合は、普段のお出かけグッズを中心に必要なものを準備しましょう。

靴がある場合は靴を履かせ、赤ちゃんのお気に入りのもの(おしゃぶり、おもちゃ、ぬいぐるみ、絵本、いつも使っているタオルなど)があると赤ちゃんが安心するので持って行きましょう。

ベビーカーは途中で動けなくなる可能性や避難所で邪魔になる可能性があります。ですから抱っこ紐で避難しましょう。首座り前の赤ちゃんは、バッグを抱っこひも代わりに使うこともできます。(参照元:だっことおんぶの研究所「災害から赤ちゃんを守る」)

防災グッズに関して詳しくはこちら。

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避難所に向かう前に

調べることができれば、避難所が被災していないかと途中の道に危険がないかを確認してから避難所に向かいましょう。

パパやママが1人で赤ちゃんを連れて避難する場合は、他の家族に避難先を連絡しておきます。連絡がつかない場合はドアに貼り紙をしておけば、家族や救助に来た人にも避難済みであることが分かります。

避難の途中や避難所についてからも、予想もしなかったことや困難なことが起こるかもしれません。1人でなんとかしようとせず、近所の人や同じような子連れの人に声をかけて、手伝ってもらったり助けあったりして乗り越えましょう。

《避難所に行くときのポイント》

  • バッグはリュックタイプがおすすめ
  • 必ず抱っこひもを持参
  • 赤ちゃんに靴を履かせる
  • 赤ちゃんのお気に入りグッズを忘れずに
  • 出発前に避難所とルートの情報を確認
  • 家族に避難先を連絡
  • 1人で抱え込まず遠慮なく助けを求める

まとめ

非常事態が起こると大人一人でも大変ですが、赤ちゃんを守るとなるとさらに不安も大きいでしょう。普段から家の中の環境を整えたり、必要な日用品・飲食物を準備したりしておけば、いざというときの安心度が違います。

また避難生活が長期化すれば、周囲の人の助けが必要になってきます。家の中のことだけではなく、家の外のつながりも普段から大事にして、いざというときはみんなで赤ちゃんを守る、という意識を高めておけるといいですね。

参考資料:

NPO法人ママプラグ(2019)『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』祥伝社
地震イツモプロジェクト(2011)『親子のための地震イツモノート キモチの防災マニュアル』ポプラ社

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