停電対策に太陽光発電は有効!?導入時に押さえておきたいポイントをご紹介
近年、大規模な災害で広範囲・長期間の停電が起こることが増えてきました。そんな状況に備えて、太陽光発電装置の導入を検討している人もいるかもしれません。自宅で発電することができれば、普段から電気代の節約にもなる可能性も。
ですが、太陽光発電を導入するにあたっては注意すべき点があります。場合によっては節約どころか赤字になってしまうことも!
太陽光発電を導入するメリットとデメリット、停電時にどのくらい使えるのかを解説していきますね。
自宅が発電所に!?太陽光発電装置とは
太陽光発電とは、ソーラーパネルを設置し、太陽エネルギーを利用して発電方式。発電した電気を自宅で使用して光熱費を削減でき、余った電気は電力会社が買い取ってくれます。
二酸化炭素を排出しないエコな発電方法で、太陽光発電の導入に補助金が出る自治体もあり、導入する人が増えています。
良いことづくめのようですが、デメリットもあります。次の章で見ていきましょう。
太陽光発電のメリットとデメリット
太陽光発電のメリットとデメリットについて、分かりやすい動画も公開されているので、参考にしてみてください。
続いて細かく見ていきますね。
太陽光発電のメリット
1,電気代が節約できる
発電した電気を自宅で使うので、電気代が節約できます。使いきれず余った電気は電力会社が買い取ってくれるので、利益を得ることができます。
2,エコな発電方法
太陽光発電は二酸化炭素を出さないエコな発電方法なので、環境保全に貢献したいと考えている人にはぴったりです。また、基本的に設置する地域に制限がないので取り入れやすいシステムです。
3, 設置場所を取らない
太陽光発電システムは屋根や壁に設置するので、発電のために新たにスペースを用意する必要がありません。
4,非常用電源になる
停電時でも、発電ができれば電気を使うことができます。停電が長期に渡った場合かなり生活に支障をきたしますが、太陽光発電ができれば周囲が停電していても自宅で電気を使うことが可能です。
実際に停電時にどのくらい電気が使えるのかは次の章で見ていきます。
太陽光発電のデメリット
1,設置費用が高額
以前に比べると安価になってきたとは言え、太陽光発電の設置にはかなりの初期費用がかかります。
初期費用はソーラーパネルの容量によって変わってきます。一般的には3~5kWが多く、2021年度の相場では84万~140万円ほどです(参考)。
ここから自治体によっては補助金が支払われます。
神奈川県では0円ソーラーといって、発電した電気の売買や設備のリース料で初期費用を賄うというシステムが導入されています(参考)。
お住まいの地域で太陽光発電の補助金や制度がないかまずは調べてみましょう。
初期費用をどれくらいの期間で回収できるかシミュレーションしてから導入を決定しましょう。
2,メンテナンス費用が発生する
ソーラーパネルは屋外にある分、埃やゴミなどで汚れやすく、汚れが溜まると発電効率が落ちてしまうため定期的に清掃しなければいけません。また消耗した部品を交換する必要もあり、メンテナンス費用がかかります。
太陽光発電のメンテナンスには以下のようなものがあります。
メンテナンス内容 | 頻度 | 費用の相場 |
清掃 | 年に2~3回 | 3~6万円 |
定期点検 | 4年に1度 | 1~2万円 |
パワーコンディショナーの交換 | 10~15年 | 20~30万円 |
(参考:スマートでんきコラム)
太陽光発電システムは屋根に設置している場合が多いのでプラス足場代がかかります。屋根に上るための足場代は8万円ほどが目安です(参考)。決して安くはないので屋根や外壁のメンテナンスなども同時に行うとよいですね。
年に2回、清掃のみ行った場合でも年間で20万円以上メンテナンス代がかかるということになります。
3,天候に発電量が左右される
太陽光発電は、天気が悪い日が続くと十分な電力を作ることができません。
また「周囲に高い建物や電柱がない」「南向きにソーラーパネルを設置できる」など、十分な発電ができる場所かどうかを、事前に見極める必要があります。
4,設備が破損するリスク
ソーラーパネルは屋外に設置するため、災害や動物が噛んだりすることで破損するケースがあります。壊れたソーラーパネルは発電できないため、修理しなければいけません。
破損を放置すると、機器がショートして漏電・感電・火災などの事故が発生することもあります。こうしたリスクの対策として、定期的な安全点検と損害保険への加入が必要です。
5,デザイン性の低下
ソーラーパネルを屋根に載せると、どうしても工業的なイメージの外観になってしまいます。自宅のデザインにこだわりがある方には、不向きかもしれません。
雨漏りや耐震性は大丈夫?
太陽光発電のデメリットとして、雨漏りのリスクや耐震性の低下を心配される方もいると思います。実際のところはどうなのでしょうか?
雨漏りのリスク
太陽光発電に必要なソーラーパネルは屋根に穴を開けて設置することがあるため、雨漏りが起こるリスクがあるといわれています。
穴を開けた場合、通常ならその後に防水処理をします。防水処理がきちんとできていないと雨漏りするリスクがあります。他には、経年劣化が進んでいるなど状態がよくない屋根に無理やりパネルを設置して雨漏りするというケースも。瓦屋根の場合は太陽光パネルの設置のために瓦をずらし、きちんと元に戻していないことで雨漏りすることがあります。
まとめると
- 瓦屋根→技術の問題
- スレート屋根→雑な作業やコーキング剤の問題
で雨漏りすることが多いです。きちんと作業していれば雨漏りすることは少ないです。(参考)
ただし雨漏りは太陽光発電パネルを設置して数年後に発生することも。そうなってくると雨漏りの責任は誰がとるのか、建築業者なのか、太陽光発電パネルを設置した業者なのか、あいまいになってしまうケースも多いようです。
太陽光発電システムを設置して雨漏りのリスクが上がるケースはあります。ですが、太陽光発電システムを設置した=雨漏りしやすくなるということではないので安心できる業者を選ぶようにしたいですね。
穴を開けない工法もありますので、雨漏りが心配な方は穴を開けない工法で設置できないかどうか相談してみましょう。
建物の耐震性が下がる
ソーラーパネルを屋根上にのせると耐震性が下がる、と言われることがあります。
その理由は
- ソーラーパネルが重い
- 屋根に物を載せると建物の重心が高くなる
というものです。
まずはソーラーパネルの重さについて。ソーラーパネルは1枚15kgほどです。と聞くと思いと感じるかもしれませんが、じつは瓦の方がずっと重いです。
1㎡あたりの重さは
- ソーラーパネル:約11.7kg
- 瓦:約45kg(参考)
と瓦の方が4倍も重いのです。また、1点ではなく複数の支点で分散して支えているので重さとしては問題ありません。
ただソーラーパネルを載せると重心が上がるので耐震性が下がる、というのは事実です。といっても大幅に耐震性が下がるという訳ではないのですが、建物の元々の耐震性によっても異なります。心配な場合は構造計算(参照)をしてもらうのがよいでしょう。
停電対策としての太陽光発電
太陽光発電のメリット・デメリットをご紹介しました。多少のコストやリスクはあっても、災害時の非常用電源として導入したいと考えている人も多いかと思います。
停電時の非常用電源として導入する際の注意点を見ていきましょう。
1,蓄電池がないと夜間使用ができない!
太陽光発電だけでは、太陽の出ている日中しか電気が使えません。冷蔵庫など24時間稼働が必要な家電もあるので、夜間も電気を使うためには発電した電気を貯めておく蓄電池も必要になります。
蓄電池の費用は、本体+工事費込みで約80〜200万円ほど。一般的な容量である5kWhや7kWhであれば160万円以下がほとんどです。ソーラーパネルとセットで購入すると割引になったり、自治体によっては補助金が出る場合もあります。
太陽光発電と蓄電池があれば、日中に発電した電気で夜間も冷蔵庫を稼働させることができます。
ですが、蓄電池の種類によっては、エアコンやIH調理器などの大量の電力が必要な電化製品が使えない場合もあります。
停電でもエアコンが使いたい!という場合は、対応している蓄電池を選びましょう。
2,断熱性・気密性によって必要な電力は異なる
太陽光発電の電気だけで生活する場合は、建物そのものが高断熱・高気密であることが重要です。断熱性・機密性が低いと冷暖房効率が悪く、太陽光発電だけでは必要な電力をまかないきれない恐れがあります。
また、冬の停電時なら断熱性や気密性が高いとそれだけで室内も暖かくなりますしね。
断熱リフォームについて詳しくはこちら。
3,災害が多い地域では不向き
「被災時の非常電源として」という前提と矛盾しているようですが、地震や台風で発電装置が破損したり、水害で機器が水没したりすると、当然発電はできません。台風や積雪が多い地域や浸水のリスクが高い地域では、せっかく設置しても肝心なときに使えない…ということになる可能性もあります。
太陽光発電は停電対策になる?
太陽光発電があれば、停電時でも家電を使用することができます。実際に太陽光発電の電気だけ使って複数の家電を動かしたという実験もありますよ。
太陽の出ていない日や夜間は蓄電池があれば、電気を使うことができます。
太陽光発電のみ、または蓄電池のみでは普段通り自由に家電を使うことは難しいかもしれません。ですが、全く電気が使えない停電時、少しでも家電が動かせるだけでありがたいですよね。
ですから、太陽光発電は停電対策になるといえるでしょう!
太陽光発電と蓄電池を導入する場合
- 本体費用:約84万~140万円
- 蓄電池費用:約80〜200万円
ですので初期費用で160万円~340万円ほどかかります。さらに年間でメンテナンスが20万円ほどかかります。
自治体によっては補助金が出る場合もありますが、すべて自分で賄う場合はかなり大きな金額になりますよね。
上手くいけば普段の光熱費を節約でき、少しずつ元が取れるかもしれませんが、なかなか道のりは険しそうです。太陽光発電で節約したい!という目的で設置するというより、費用なども理解した上で、もしもの時の停電対策として設置する方が理にかなっているのではないでしょうか。
太陽光以外だとV2Hシステムを導入し、電気自動車やPHEVも使って停電時の電力を賄うという方法も。詳しくはこちら。
まとめ
太陽光発電で光熱費を節約したい、余った電力を売って利益を出したい、または非常時の電源として導入したいと考えている方も多くいると思います。
もちろんメリットも多いですが、導入にはそれなりに費用もかかりますし、リスクや条件もあります。導入の際は十分検討してくださいね。
うちはちょっと太陽光発電向きじゃないかな…でも停電時に電気は使いたい!という人は、こちらも参考にしてみてください。